一票の格差とは・・・何?
選挙のたびによく耳にする「一票の格差」、一票の格差が問題で…なんて聞いたことがあると思います。
「一票の格差」聞いたことはあるけど、意味を以外と知らないのではないでしょうか?
「一票の格差」とは、結論から言うと、
有権者が投じる一票の有する価値に見られる格差。
選挙区ごとに発生する一票の重みの不平等のこと。
とはいってもこれだけでは、ちょっとわかりにくいし何が問題なのかも見えてこないですね。
ですが実は、この一票の格差があるせいで、私達の意見が政治に全く反映されない場合があるんです。
もしかすると、「一票の格差」のせいであなたが投じた票は、完全に無視されちゃってるかもしれないんです!
これではちょっと残念!
なので本日は、その辺をもう少しわかりやすく簡単に紐解いていきますね。
Contents
一票の格差とは?簡単にわかりやすく説明
「一票の格差」ですが、実はとっても身近な問題です。
わかりやすく簡単な例を上げてみると、
A地区 1000人
B地区 1200人
C地区 5000人
と有権者の数は、地域によってバラバラ、違いがありますよね。
しかしながら、
選挙において、A地区、B地区、C地区、において一人の当選者しかいないとなると、一票の重みが違ってきます。
これを、一票の格差といいます。
では、次にこの何が問題なのでしょうか?
一票の格差の問題点
地域の人口によって、一票の格差が生まれることはわかったけど、どうしてそれが問題なの?
これも一発でわかりやすく問題点を指摘していきますね。
先ほど紹介したA地区、B地区、C地区において、それぞれ1人の議員が有権者の半分の表を獲得して当選したとします。
A地区 1000人 議員1名(500票)
B地区 1200人 議員1名(600票)
C地区 5000人 議員1名(2500票)
それが国会などの議会で法案を通そうとした時、
A地区の議員 z法案に賛成
B地区の議員 z法案に賛成
C地区の議員 z法案に反対
となったとします。
「z法案を最終的に議員の投票で決める」となった時に、
・賛成 2票
・反対 1票
となってしまい、z法案が通ってしまいますよね。
しかしながら、
有権者の数で言えば、5000人(過半数でも2500人)を抱えるC地区の議員のほうが、A地区、B地区の数を足したものより多いのはあきらか。
・代表者を出して
・多数決で決める
といった方法を取ることで、全体の意見と全く違ったものになってしまいます。
これが、「一票の格差の問題点」です。
「一票の格差」はなぜ違憲なのか?
「一票の格差」はなぜ違憲なのか?
違憲と言われるのであれば、まずは憲法を知っておかないと・・・ですよね。
なので、まずは憲法のおさらいを。
まず最初に、憲法第十四条では、
1 すべて国民は、法の下に平等であつて、人種、信条、性別、社会的身分又は門地により、政治的、経済的又は社会的関係において、差別されない。
2 華族その他の貴族の制度は、これを認めない。
3 栄誉、勲章その他の栄典の授与は、いかなる特権も伴はない。栄典の授与は、現にこれを有し、又は将来これを受けるものの一代に限り、その効力を有する。
となっています。
「法の下に平等」と憲法では謳われているのですが、先ほど紹介したように、一票の格差があるおかげで、「法の下に平等」ではなく不平等ではないのか?なので、一票の格差は違憲なのでは・・・と言われています。
最高裁でにおいても、衆院選で3倍、参院選で6倍以上であれば違憲、と判断しているが選挙は有効としているのが現状です。
また、憲法第四十四条においては、
両議院の議員及びその選挙人の資格は、法律でこれを定める。
但し、人種、信条、性別、社会的身分、門地、教育、財産又は収入によつて差別してはならない。
と言われています。
ようするに、
・納税額によって投票出来る数が増えたり
・能力によって投票できたり(できなかったり)
・女性だからと言って投票できなかったり
というような差別がないように「選挙権の平等」を憲法で定めているのですが、一票の格差も「選挙権の平等」に接触して差別になっているのではないのか?といわれています。
一票の格差の解決策はあるの?
では次に、一票の格差の問題点をどう解決していけばいいか?
・議員数を増やす
・定期的な見直し
・アダムズ方式
といろいろな解決案があります。
それぞれわかりやすく紹介していきますね。
・「一票の格差」を解消するため議員数を増やす
「有権者の多いい地域の議員数を増やせば良いんじゃないの?」
たしかにそうですね。
先ほど紹介した、ABC地区の例では、C地区の議員数を最終的に4人から5人にすれば一票の格差はなくなります。
たしかにこのやり方でも良いのですが、問題点が1つ。
それは、議員を増やすとそれだけお金がかかること。
なので、簡単に増やすことができないのが現状です。
また、議員を増やすことによって、他の政党が当選しやすくなるデメリットもありますね。
一票の格差を解消するために議員を増やす ↓ 自分の政党以外の議員が増える ↓ 与党から落とされる |
と、こうなってしまわないように与党は「今の状態で与党となれるような議員の配分」を保持しようとします。
その結果、議員数はあまり変わらぬままとなり「一票の格差」が続いてしまう結果となります。
なので、与党はこういった政策にはあまり賛成しない傾向があります。
・「一票の格差」の定期的な見直し
ドイツの場合、総選挙の一年以内に一票の格差を見直します。
この場合、原則として、+25%~-25%が適用されます。
1000人を基準とすると、
+25% 1250人
-25% 750人
最大で、1.6666…倍、2倍以内に収まっていますね。
ドイツでは人口の変動によって、区割りを見直しますので、「A地区の人口が減ったから、次の選挙では隣の選挙区に吸収されてしまう」といったことも実際にはあるようです。
(議員数を見直すのではなく、区割りを見直すのは面白いですね)
こちらの動画がわかりやすく説明していますので、確認してみてください。(3:00あたりから)
https://www.youtube.com/watch?v=o3c1x3kQ7o0
こんな感じで目標となる数値が明確化しているといいですね。
・アダムズ方式
「アダムズ方式」とは、各都道府県の人口比に基いて定数配分を決める方式。
やり方は、
都道府県の人口を一定の数値xで割り、商の小数点以下を切り上げた値を議員数とする方式。
小数点以下を切り上げるので、最低でも一つの地域に一人の議員は生まれます。
言葉だけではむずかしいので、ちょっとやってみますね。
A地区 人口10000人
B地区 人口15000人
C地区 人口30000人
D地区 人口48000人
「人口を一定の数値xで割り」とありますので、ここでx=10000とします。
A地区 人口10000人÷10000=1.0
B地区 人口15000人÷10000=1.5
C地区 人口30000人÷10000=3.0
D地区 人口48000人÷10000=4.8
となります。
そして、「商の小数点以下を切り上げた値を議員数」となっていますので、小数点以下を切り上げます。
これが議員数です。
A地区 1.0 議員数1人
B地区 1.5 議員数2人
C地区 3.0 議員数3人
D地区 4.8 議員数5人
と、アダムズ方式では「一票の格差」をこんな感じで解決しています。
まとめ
いかがでしたか?
もしお子さんに
「一票の格差ってなあに?」
って聞かれた場合、大丈夫でしょうか?
もし心配な場合は、もう一度見直してみてくださいね。
本日の記事は以上です。
最後までお付き合い頂き、ありがとうございます。