喪中の場合、新年はどうやって過ごせばいいの?
・喪中の新年の挨拶はどうすればいいの?
・初詣はいってもいいの?
・年賀状が届いたんだけど…
・門松は飾ってもいいの?
と、悩んでいませんか?
喪中とは本来、
「穢れている期間」
と
「親しい人が亡くなってしまって悲しんでいるので、とてもではないけれど「お祝い」をする気にはなれない」
という2つの意味があります。
なので、例えば、
「あけましておめでとうございます」
と言った新年をお祝いするような言葉は使いません。
そのほかにも、
・年賀状は書かなかったり
・しめ縄、しめ飾りは飾らなかったり
・おせち料理は作らなかったり
と、いろいろと決まり事が…。
なので本日は、その辺を踏まえながら、喪中の場合に、お正月に関する行事やしきたりなどをどうとらえていったらいいのかを紹介していきます。
Contents
新年の挨拶や年賀状など、喪中の場合はどうする?
新年に関する様々な行事を見ていくと、
・新しい年をお祝いする
・神様を迎える
・自然の恵みに感謝する
などなど、いろいろな意味があります。
そこで、「喪中の場合はどうするか?」ですが、詳しく説明していく前に、「喪中」に関して軽く紹介していきますね。
◆喪中とは? 喪中とは、先程も書きましたが、 ・穢れている期間 の2つの意味があります。 そして期間ですが、一般的には1年とされていて、一周忌の法要が終わったら、「喪明け」としてお祝い事などに参加しても良いとされています。 ですが、これは ・地域的理由 によって違いがあり、必ずしも1年というわけではありません。 心配であれば地域の年長者やお寺などにいって聞いてみるのをオススメします。 |
また、喪中と忌中の違いについては、こちらの記事を参考にしてしてみてください。
→喪中とは?意味や忌中との違いについてわかりやすく説明します
と、前置きが長くなってしまいましたが、喪中のお正月の過ごし方について、
・年賀状、寒中見舞い
・お正月の飾り
・お正月の食べ物
・お正月の行事
のグループに分けて、説明していきますね。
お正月の年賀状、喪中はがきについて
1 年賀状・喪中はがきについて
喪中の場合、年賀状は出しません。
なので、メールやLINEでの新年のあいさつもこれに習って控えましょう。
そのかわり、喪中はがき(年賀欠礼状)を出します。
喪中はがき(年賀欠礼状)はお正月に届けるのではなく、12月はじめから中旬までに届けるのが礼儀となっています。
要するに、毎年年賀状を書いてくれる相手に、
「喪中のため、年賀状は控えさせていただきます。」
というのを年賀状よりもさきに相手に伝えるのが、喪中はがきなのです。
そうすることによって、相手が喪中の自分に年賀状を出すのを防ぐ意味もあります。
なので、なるべく早い時期の12月の初めから中旬、相手が年賀状の準備をする前に喪中はがきを出しておきましょう。
※喪中はがきに関しては、こちらの記事で詳しく紹介しています。
2 寒中見舞い
年賀状のかわりに「寒中見舞い」をだすのが通例であるとされています。
寒中見舞いの本来の意味は、
「寒い日が続きますが、いかがお過ごしてでしょうか?」
と、相手を気遣うためのハガキです。
そして、寒中見舞いの手紙を出す期間は、一般的に、小寒(1月5日ごろ)~立春(2月4日ごろ)となっていますので、年賀状とは全くの別物。
年賀状にならって出したい気持ちはわかりますが、松の内に寒中見舞いがくるのはかえって無礼に当たると思う人もいるようです。
なので、寒中見舞いであれば、松の内ではなく、1月15日以降(立春まで)に出すのがベターですね。
年賀状、寒中見舞いの要点をまとめてみると、 ・喪中はがき ・寒中見舞い ・年賀状 となってきます。 |
と、お正月の年賀状、寒中見舞いに関してはここまで。
次に、お正月の飾り付けに関して説明していきます。
喪中の場合、お正月にお飾り付けはどうする?
3 門松
門松の本来、
・縁起のいい松を飾る
・神様の依り代としての目印を玄関においておく
の、2つの意味があります。
なので、
「神様の依り代として、年神様を家に迎え入れるために門松を飾るのであれば、祝い事に参加する、という意味は無いので、飾ってもいい。」
という意見と、
「門松は縁起ものだから、喪中は駄目だよ。」
と言った2つの意見があります。
さらに考えておかなければならないこととして、
「門松は玄関に飾るものだから、人目に付く」
事もあげられます。
要するに近所の人に、「喪中なのに門松を飾っているのはどうなの?…」といった印象を与えてしまうこともあります。
・松は縁起の良い物
・神様の依り代
・近所の目
この3つを踏まえて私なりに答えを出すなら、
「飾らなくてもいいし、もし飾るのであれば、派手なものではなく質素なもの、そして家の中に飾る」
と言った感じになるでしょうか。
※松の内や門松に関しては、こちらの記事で詳しく紹介しています。
→松の内とは何?その意味やその時にすること・してはいけないこと
4 しめ縄、しめ飾り
しめ縄、しめ飾りは本来、「神聖な場所」や「穢れていない場所」と言った意味があります。
神社にあるしめ縄などがそうで
「ここから先は、穢れていない神聖な場所だよ」
って意味の境界がしめ縄なのです。
なので、穢れている期間を意味する「喪中」においては、その穢れを神聖な場所に持ち込んではいけません。
ということで、喪中に関しては、やらないほうがいいでしょう。
※しめ縄。しめ飾りに関してはこちらの記事で詳しく紹介しています。
→しめ飾りはいつからいつまで?由来や正しい処分方法も合わせて紹介
お正月の飾り付けに関してもう一度、要点をまとめてみると、 ・門松 飾らなくてもいいし、もし飾るのであれば、派手なものではなく質素なもの。もしくは家の中に飾る ・しめ縄、しめ飾り やらないほうがいい |
お正月の飾り付けに関しては以上です。
つぎに、お正月の料理に関して紹介していきます。
喪中の場合、お正月の料理はどうしたらいいの?
5 おせち料理
おせち料理は「御節料理」と書き、元々は節目をお祝いするための料理、という意味がります。
なので、喪中の意味、「親しい人が亡くなってしまって悲しんでいるので、とてもではないけれど「お祝い」をする気にはなれない」
とは、一緒に成り立ちません。
なので、喪中の場合は、おせち料理は控えるようにしましょう。
6 年越しそば
年越しそばの本来の意味は、
・蕎麦は細く長いので長寿の願いを込める
・蕎麦は風雨に強いため、その強さにあやかる
・蕎麦を内蔵の毒をとる(と信じられていた)から
・蕎麦は切れやすいから、一年間にあった苦労や悪縁を切るため
と、こんな意味から、年末に蕎麦を食べる習慣ができたようです。
なので、特に「新年をお祝いしたり…」という意味は、年越しそばには込められていませんので、喪中であっても年越しそばは大丈夫です。
7 お雑煮
お雑煮の本来の意味は、
・年神様に供えたお餅や野菜などを
・新年最初に井戸から汲んだ水で
・新年最初の火で煮込んで感謝しながら食べる
と言った意味ですので、「新年をお祝いする」というよりも「収穫した野菜や、水や火などが使えることを神様に感謝する」といった意味が強いですね。
なので、喪中に関してもお雑煮は大丈夫、と一般には考えられています。
しかし、喪中ですので、「紅白のかまぼこ」みたいな縁起をかつぐようなものをお雑煮の具材に使うのは控えるようにしましょう。
8 お屠蘇
お屠蘇の本来の意味は、
・邪気を払う
・長寿を願う
と言った意味があります。
要するに、「清めの酒」といった感じでしょうか。
結婚式や成人式などの、おめでたいことを祝う酒ではなく「邪気を払って、一年健やかに過ごせる願いを込めたお清めの酒」が、お屠蘇の本来の意味です。
なので、これまた「新年を祝う」という意味ではありませんので、喪中でも大丈夫です。
※地域によってはお屠蘇は「新年を祝う」という意味もあるようですね。
その場合には、地域の習わしに従ってください。
お正月の食べ物に関してもう一度まとめると、 ・おせち料理 「新年をお祝いする」という意味がありますので、喪中の場合には控えるようにしましょう。 ・年越しそば 「新年をお祝いしたり…」という意味は、年越しそばには込められていませんので、喪中であっても年越しそばは大丈夫です。 ・お雑煮 「新年をお祝いする」という意味ではなく、神様に感謝するという意味が強いですので、お雑煮は喪中であっても大丈夫です。 ・お屠蘇 「邪気を払って、一年健やかに過ごせる願いを込めたお清めの酒」が、お屠蘇の本来の意味で喪中であっても大丈夫なのでですが、地域によっては「新年をお祝いする」という意味もありますので、気をつけてください。 |
つぎに、お正月の行事について紹介していきます。
喪中の場合のお正月の行事について
9 初詣
さきほど、しめ縄しめ飾りのところでも書きましたが、神道においては喪中は「穢れている期間」を表します。
なので、「清浄な空間」に穢れを持ち込んではいけないことになっていますので、一般的には神社に初詣するのは喪中は駄目とされています。
しかし、お寺(仏教)に関しては「神道における穢れ」という概念は存在しません。
なので、お寺に初詣するのは大丈夫とされています。
とはいえ、言い伝えや伝承というものは、各地に広がって長い長い年月が経つと変わってくるものです。
なので、地域によって考え方はさまざまですので、気になるのであれば毎年初詣する神社やお寺に聞いてみるのがいいと思います。
10 新年の挨拶
喪中の場合、悲しんでいてとてもではないけれどお祝いする気にはならない、ということですので、
「あけましておめでとうございます」
といった、新年をお祝いするような言葉は使いません。
ですが、それに続く、
「昨年は大変お世話になりました。今年もよろしくお願いします。」
は、お祝いをする言葉ではなく、昨年お世話になったことへの感謝などを表していますので、大丈夫とされています。
なので、新年の喪中の挨拶に関しては、
「あけましておめでとうございます」
は、省略し、それに続く、
「昨年は大変お世話になりました。本年もよろしくお願いします。」
とだけ相手に伝えるのが良いとされています。
※追記
これは、人に直接あったときだけでなく、メールやLINEでの新年の挨拶においても、
「あけましておめでとうございます」
と言った新年を祝う言葉は避け、
「昨年はお世話になりました。本年もよろしくお願いします」
と言った挨拶だけにしておきましょう。
また、喪中においては、メールやLINEで新年をお祝いするような派手な画像を送るのも、控えるようにしてくださいね。
11 お年玉
お雑煮のところで軽く紹介しましたが、昔は新年には、家に来てくれた年神様に野菜などをお供えして、それを分配し感謝しながらいただいていました。
年神様にお供えする物の中にはもちろんお金も含まれていました。
それを分配したのを「お年玉」と言います。
なので、お雑煮と一緒で喪中であってもお年玉は基本的に大丈夫とされています。
しかしながら、喪中であることを考えると「派手なお年玉袋」は控え、無地の封筒などに入れて、「お年玉」とはせずに、
・本代
・文房具代
・お小遣い
などとして渡したほうが無難といわれています。
お正月の行事に関してもう一度まとめてみると、 ・初詣 基本的に、神社は駄目、お寺はOKですが、地域によって異なることがありますので、気になる場合は聞いてみるのがいいと思います。 ・新年の挨拶 「あけましておめでとうございます」はNG。 ですが、 「昨年は色々とお世話になりました。今年もよろしくお願いします」 は大丈夫です。 ・お年玉 基本的に大丈夫とされていますが、気になるのであれば、 ・白い封筒を使う と言った工夫をしましょう。 |
まとめ
いかがでしたか?
喪中におけるお正月の過ごし方を紹介するために、今回いろいろ調べてみたのですが、私なりに気になった点がありました。
それは、
穢れている期間なので、清浄な場所、神聖な場所を意味する神社に初詣行ったり、清浄な場所を意味するしめ縄を飾るのは駄目。
しかしながら、
門松を飾ったりして年神様を迎え、年神様にお供え物して、そのお供え物のお雑煮を食べたりお年玉を配ったりするのは大丈夫、
といった考え。
ちょっと矛盾しているような気もするので、この、喪中であるにも関わらずお正月に来てくださる年神様について調べてみたのですが、
・家を守る先祖の霊
・五穀豊穣の神(実りの神)
・一年を守護する神様
といったものが由来になっています。
(民俗学者の)柳田國男は、一年を守護する神、農作を守護する田の神、家を守護する祖霊の3つを一つの神として信仰した素朴な民間神が年神であるとしている。
引用 wikipedia 年神
ご先祖様であれば今も昔も家族の一員ですので、喪中にも関わらず来てくれるのも納得ですね。
本日の記事は以上です。
最後までお付き合い頂き、ありがとうございます。